現在の世界経済のなかで、日本の通貨である円は外国為替市場では「変動相場制」のもとで、その価値が上下するという構造になっています。その日の政治状況や経済状態、各国の金融政策などの影響によって、たとえば1米ドルや1ポンドを何円で交換するかという交換レートは常に変化します。日本円と米ドル、ポンドが保有している相対的な価値によって、価格が上がったり下がったりするわけです。通貨の価値がそのときの状態によって常に変化するため、そのことを変動相場制と呼んでいます。

テレビや新聞、マネー雑誌などで毎日のように、「本日の外国為替相場は1ドル110円30銭から40銭」といった報道をしますが、相場が変動するため、毎日、米ドルやユーロ、ポンドと円の交換レートを報道する必要があるわけです。これが、かつての固定相場制のように1米ドル360円と決まっていれば、為替相場を毎日のように報道する必要はまったくありません。変動相場制を採用しているために通貨の価値が毎日変わるので、公表する必要があるのです。

「外為投資」という投資手法は、以上のような米ドルやユーロ、ポンドといった外貨と日本円との間で起きてくる交換レートの変動を使って、うまく利益を得ようというものです。つまり、「変動相場制」を採用していることから考え出された投資手法で、変動相場制だからこそ可能になったものといえます。

この変動相場制ですが、外国為替市場で取り入れられたのはそんなに古いことではありません。比較的新しいシステムなのです。それまでの外国為替市場では、日本円は「固定相場制」で取り扱われていました。ご存じの方が多いと思いますが、固定相場制は常に通貨の交換価値が一定の方式で、1米ドルに対してはいくら、1ポンドに対してはいくらというふうに交換レートがまったく変化しないシステムです。当時、日本円は1米ドルに対して、360円でした。固定相場制度は、1945年から1971年までの間に採用されており、日本経済の躍進の立役者であったことは言うまでもありません。

というのは、日本は輸出で経済が発展した国です。企業が海外に、たとえば、アメリカに商品を輸出するとしましょう。そうすると1米ドルは360円で計算されますから、10ドルの商品をアメリカで販売すると3600円の収入になります。この収入は戦争があっても相手国の経済状況が悪化しても守られています。

ところが変動相場制になると、あるとき1米ドルは250円、またあるときは1米ドルは110円というふうに価格が変わっていくと、輸出企業の収入はどうなるでしょうか。あるときは、10ドルの商品が日本円にすると2500円だったが、あるときは1100円に下がってしまう。これでは、輸出による企業の収入は一定しません。つねに、為替相場の数字を気にしながら、ビジネスをしなければなりません。このように価格が変動してしまうと、それが即座に企業の業績に響いてくるのも、変動相場制の特徴です。とくに輸出を中心にビジネスを展開している企業にとっては、円と米ドル、ポンド、ユーロとの交換比率の数字は、常に注視しておく必要があります。

日本円が1米ドルに対して360円という交換レートであったのはなぜかといいますと、日本を占領軍の総大将であったダグラス・マッカーサーの一言にあったと言われています。「『円』は360度だから」と彼が言ったことで、日本円の外国為替市場での1米ドルとの交換比率は、360円で決まったそうです。

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