円が安くなるのはメリットばかりではありません。メリットの対にはデメリットが必ずついてまわります。円安も例外ではありません。

 

典型的なケースは、外国からの商品やサービスの価格が高くなるという現象が起きてしまいます。

たとえば海外旅行を計画しているケースの場合、円安はかなり不利な状況をつくりだしてしまいます。

 

まず、一つが両替の問題です。

たとえば、海外旅行へ行くために、その国の通貨と円を交換しなければなりませんが、1米ドル100円のときには、1万円で100米ドル1枚と交換できました。しかし、1米ドルが120円になったらどうでしょうか。1万円では以前のように100米ドル1枚を得ることはできません。1万2000円を支払わなければ100米ドルと交換できないわけです。つまり、米ドルを変えるのにたくさんの日本円を支払わなければならないということになります。

 

また、円安になると海外からの輸入商品の価格が高くなります。1個が1000米ドルのブランドもののバッグを販売しているとしましょう。1米ドル100円だったときには、店頭で10万円で販売していました。ところが、何かの事情で円が安くなったために、1米ドルが110円になってしまいました。そうすると、店頭でいままで10万円で売られていたバッグの価格は、11万円に値上がりしてしまいました。実際には、店側の経営努力で、円安になっても価格を据え置くところがありますが、ここでは分かりやすくするために、円安の影響がもろに店頭価格に響くことを前提にしています。

そうなると、これまでは10万円で買えたバッグが、11万円を払わなければ買えなくなってしまいました。つまり、たくさんの円が必要になってしまったわけです。

 

日本は資源やエネルギーが欠乏しているため、海外から食品や石油等を輸入しています。そのため、為替相場の変動が即座に商品に影響してくるという運命をもっています。このことは、個人のレベルから事業体のレベルまで、様々な分野で影響を被ることになります。そのため、円安になると海外からの輸入品が値上がりし、私たちの生活に悪影響をもたらしてしまうのです。輸入企業は従来より高い価格で商品を購入しなければならないために仕入れ価格が上昇します。また、店頭で海外からの商品を販売している企業は円安を価格に転化して商品価格を向上させる必要があるので、その商品価格が高くなっても人気の商品であれば、業績の向上につながりますが、価格高騰で売れなくなるというリスクもはらんでいます。

一般の百貨店やスーパー等で販売されている食料品や、石油等からつくられている商品は数が多いことから、円安によって輸入価格が上昇すると、企業にとっても、個人にとっても大きな損害を被ることになります。これが円安の大きなデメリットといえましょう。

 

海外の通貨に対して円の価値が下がるという、円安になったときのメリットをもっとも享受するのは、海外へ製品を輸出している輸出を中心としている企業です。円安は、輸出企業にとって神風のようなものです。

 

たとえば、自動車メーカーは国内で販売しているのはもちろんですが、海外へ輸出もしています。それも毎年、大量に自動車をアメリカやヨーロッパ等に生産・輸出をしています。そのときの収支決済は、アメリカなら米ドル、ヨーロッパだとユーロ、イギリスだとポンドをベースに決済が実施されています。

 

そうすると、自動車1台をアメリカでは2万米ドルの価格で販売したとしましょう。そのとき、1ドルが100円だったとします。自動車が1台売れるごとに自動車メーカーに入ってくる収入は、200万円となります。

 

ところが、ある日、1米ドル90円になったとします。円の価値があがり、円高が起こったわけです。そうなると、自動車1台の価格である2万米ドルが日本円になおすと、180万円という価格で計算されることになります。1台売るごとに200万円入っていた収入が180万円と、20万円の減額になってしまうわけです。

 

その逆に、1米ドルが100円から110円という円安になったとします。これまで1台売るごとに200万円の収入が入ってきたのが、円の価値が下がったために、1台売るごとに220万円で売れることになりました。つまり、円安になったおかげで自動車メーカーの収入が、それだけ上昇したことになります。

 

日本の経済を支えているのはいまだに輸出を中心とした企業や産業です。円が外国の通貨に比べて相対的に安くなる、低くなる、つまり円安になることは、輸出を中心とした企業の業績が向上すことになり、日本経済は発展するということになります。ですから、輸出産業にとっては、円安はもっとも歓迎する現象なのです。

毎日のテレビでの経済ニュースや新聞の経済欄で、「本日の為替相場は1ドル110円20銭、前日よりも10銭の円高です」とか「日本円の対米ドルの価格は1ドル120円40銭から50銭で、昨日よりも20銭円安です」といったコメントを聞かない日はありません。それほど通貨の情報は私たちにとって身近な情報となっています。ここで言う「円高」とか「円安」とは、どんなことを意味しているのでしょうか。

「円安」から説明してみましょう。 「円安」とは、文字とおり、円が安くなるということです。言葉を変えれば、円の価値が下がってしまうということです。

たとえば、前日に1米ドルが100円であったものが、本日は1米ドルが110円になったとしましょう。それはどんなことを意味しているのでしょうか。

1米ドルが100円で交換できたものが、つまり、100円を払えば1米ドルを入手できたものが、1米ドルが110円になったために、1米ドルを入手するためには110円を支払わなければならなくなったことを意味しています。

これはどういうことかというと、昨日までは1米ドルを100円払えば買えたところが、為替相場が変動したことによって、1米ドルが110円に上がったということを意味しています。つまり、1米ドルの価値が100円だったものが、110円になったということですから、円に比べてドルの価値が高くなったということになります。ということは、1米ドルの価値が上がったのですから、その対にある円の価値が下がったということになります。

これを「円安/ドル高」になったと言うわけです。

人によっては、円が100円から110円になった、つまり数字が高くなったのだから、円の価値があがったというように思われる方がおられるかもしれません。往々にしてそうした間違いはあるものですが、1つの商品を買うのに、以前とはお金をたくさん払わなければならなくなったということは、それだけ支払う通貨の価値が下がっていることになりますから、たくさんの通貨を払わなければならない=安くなった、価値が下がったと言えるわけです。

一方、その逆に1米ドルが100円から90円になった場合は何と言うのでしょうか。1ドルを購入するのに、あるいは変換するのに100円だったものが、90円しか払わなくてもよくなったわけです。ということは、支払う通貨の量が少なくなったのですから、円の価値が上がった、高くなったと言えます。1米ドルに対して、相対的に円の価値が高くなっているというわけです。

このことを「円高/ドル安」と呼んでいます。

もちろん、これは米ドルだけではなく、豪ドルやユーロにしても同じことが言えます。ユーロの価値が高くなれば「円安/ユーロ高」と呼び、ユーロの価値が下がれば、「円高/ユーロ安」と言うわけです。

現在の世界経済のなかで、日本の通貨である円は外国為替市場では「変動相場制」のもとで、その価値が上下するという構造になっています。その日の政治状況や経済状態、各国の金融政策などの影響によって、たとえば1米ドルや1ポンドを何円で交換するかという交換レートは常に変化します。日本円と米ドル、ポンドが保有している相対的な価値によって、価格が上がったり下がったりするわけです。通貨の価値がそのときの状態によって常に変化するため、そのことを変動相場制と呼んでいます。

テレビや新聞、マネー雑誌などで毎日のように、「本日の外国為替相場は1ドル110円30銭から40銭」といった報道をしますが、相場が変動するため、毎日、米ドルやユーロ、ポンドと円の交換レートを報道する必要があるわけです。これが、かつての固定相場制のように1米ドル360円と決まっていれば、為替相場を毎日のように報道する必要はまったくありません。変動相場制を採用しているために通貨の価値が毎日変わるので、公表する必要があるのです。

「外為投資」という投資手法は、以上のような米ドルやユーロ、ポンドといった外貨と日本円との間で起きてくる交換レートの変動を使って、うまく利益を得ようというものです。つまり、「変動相場制」を採用していることから考え出された投資手法で、変動相場制だからこそ可能になったものといえます。

この変動相場制ですが、外国為替市場で取り入れられたのはそんなに古いことではありません。比較的新しいシステムなのです。それまでの外国為替市場では、日本円は「固定相場制」で取り扱われていました。ご存じの方が多いと思いますが、固定相場制は常に通貨の交換価値が一定の方式で、1米ドルに対してはいくら、1ポンドに対してはいくらというふうに交換レートがまったく変化しないシステムです。当時、日本円は1米ドルに対して、360円でした。固定相場制度は、1945年から1971年までの間に採用されており、日本経済の躍進の立役者であったことは言うまでもありません。

というのは、日本は輸出で経済が発展した国です。企業が海外に、たとえば、アメリカに商品を輸出するとしましょう。そうすると1米ドルは360円で計算されますから、10ドルの商品をアメリカで販売すると3600円の収入になります。この収入は戦争があっても相手国の経済状況が悪化しても守られています。

ところが変動相場制になると、あるとき1米ドルは250円、またあるときは1米ドルは110円というふうに価格が変わっていくと、輸出企業の収入はどうなるでしょうか。あるときは、10ドルの商品が日本円にすると2500円だったが、あるときは1100円に下がってしまう。これでは、輸出による企業の収入は一定しません。つねに、為替相場の数字を気にしながら、ビジネスをしなければなりません。このように価格が変動してしまうと、それが即座に企業の業績に響いてくるのも、変動相場制の特徴です。とくに輸出を中心にビジネスを展開している企業にとっては、円と米ドル、ポンド、ユーロとの交換比率の数字は、常に注視しておく必要があります。

日本円が1米ドルに対して360円という交換レートであったのはなぜかといいますと、日本を占領軍の総大将であったダグラス・マッカーサーの一言にあったと言われています。「『円』は360度だから」と彼が言ったことで、日本円の外国為替市場での1米ドルとの交換比率は、360円で決まったそうです。

最近、「外為投資」がマネー雑誌やインターネット等で紹介されて、大変注目されていますが、いったい「為替」とは何のことでしょうか。

私たちは毎日のよう、テレビや新聞の経済ニュースや経済欄などで、「本日の外国為替相場市場は1ドル120円10銭」とか「115円30銭」とアナウンサーが述べる言葉を耳にしたり目にすることがあります。しかし、「為替」とは何か、という問題になると、簡単に述べることはかなり時間を要するかもしれません。

為替を一言で現すとすると、たとえば、日本の通貨である円とアメリカの通貨であるドル、あるいは英国の通貨であるポンドなどといった外国の通貨と交換するときの交換比率、またはそうした通貨の交換を要するシステムということになります。

たとえばアメリカ大陸やヨーロッパ、アフリカなどに旅行に出かける場合に、日本円をアメリカやヨーロッパ、アフリカなどでそのまま使用することは不可能です。そこでどうするかと言えば、日本を出発する前に、アメリカに行くのであれば、日本円と米ドルを交換する必要があります。ヨーロッパだと旅行する国の通貨と変換しなければなりません。そのときに、1米ドルをいくらの日本円で交換するのかを取り決めたものが、為替なのです。

もし為替の相場が1米ドル=100円のときに、2万円をドルに換えるとしましょう。ドルと変えるということを言葉を換えれば、ドルを買うということになります。したがって、2万円でドルを買うと、1ドルが100円ですから、米ドルの合計は200ドルになります。また、1ポンド=200円のときに2万円でポンドを買うと、100ポンドになります。日本円では同じ1万円ですが、米ドルやポンドと交換する場合に、交換する日時の為替の相場がいくらになっているかによって、何ドルになるか、何ポンドになるか、レート、つまり、交換比率が変わってきて、日本円がいくらの米ドルやポンドに変えられるか、数量が変わってくるわけです。

「外為投資」とは、こうした為替相場の変動に目をつけて、米ドルやポンドなどの外貨と日本円を交換する、言葉を変えれば、買ったり、売ったりすることによって、何らかの利益を得るという考え方の基に開発された投資方法のことです。

第二次世界大戦後、戦勝国として世界経済の牽引役の地位を得たアメリカを中心としたブレトンウッズ体制の確立により、戦後の通貨管理と取引は始まりました。その後、米ソの冷戦や日本、旧西ドイツなどが急速に復興を遂げていくなかで、1960年代からベトナム戦争の泥沼に入り込み、経済を疲弊させたアメリカは、固定制通貨管理のただ一国の中心国としての地位を放棄せざるをえなくなりました。これが、1971年8月15日、当時のニクソン米大統領による金・ドル交換停止宣言、いわゆるドルショックです。これより後、通貨は完全な変動相場制に移行、巨額の貿易黒字を蓄積した日本の円は、変動相場制の市場で急速に上昇していくことになります。

2度の中東戦争と石油ショック(日本においては拡大する貿易摩擦をあわせて)を経て、アメリカは国内景気の低迷とベトナム戦争のショックから立ち直れずにいましたが、ロナルド・レーガンが第40代の大統領に就任した後、高金利政策をとった米ドルは、上昇に転じました。

OPEC内の主導権争いによる原油価格の下落、中南米の対外債務問題を経て、上昇するドルを背景に、日本の貿易黒字は拡大の一途をたどりますが、1985年9月のプラザ合意で相場が歴史的転換点を迎えます。これより日本は株高、円高、原油安のメリットを享受するバブル経済期へと突入しますが、この前年より、為替取引の実需原則撤廃もあり、財テクがブームとなり、金融商品の種類も、先物、オプション、スワップ、OTC、エキゾティックと一気に拡大し、貿易・投資上の多くの規制が緩和されていきました。

その後、1990年代に入り、バブルは崩壊、日本経済もそれ以降凋落していきます。バブル崩壊以降、長引く不況、デフレ、円高定着の影響もあり、国内経済が低迷するなかで、多くの日本企業が信用不安、さらに、金融市場としての日本の地位低下が深刻な問題となりました。これに対して、1998年、その復権を目指して実行されたプロジェクト、が、いわゆる「金融ビッグバン」です。これにより、外国為替取引が金融機関や事業法人だけでなく、個人が投機目的に取引を行うことが可能になり、金融機関でなくても取引の受託が可能となり、国内で外国為替証拠金取引という新しい新商品が登場したのです。

 

取引通貨の種類(主な取引通貨の名称)

通貨                          コード

米ドル                        USD

ユーロ                        EUR

日本円                        JPY

英ポンド                      GBP

オーストラリアドル            AUD

カナダドル                    CAD

スイスフラン                  CHF

ノルウェイクロネ              NOK

ニュージーランドドル     NZD

中国人民元                    RMB

米ドル/円                    USD/JPY

ユーロ/円                    EUR/JPY

ユーロ/米ドル                EUR/USD

英ポンド/米ドル       GBP/USD

英ポンド/円                  GBP/JPY

豪ドル/円                    AUD/JPY